聴覚彼女

愛知声優楽曲DJイベント『聴覚彼女』のinfoやお薦め声優楽曲のレビューをしていきます。

小野友樹『パーティーマン』

パーティーマン(DVD付)

パーティーマン(DVD付)

 

 

 『黒子のバスケ』火神大我役や、『ダイヤのA』伊佐敷純役で知られる小野友樹さんのアーティストデビューとなる6曲入りの1stアルバム『パーティーマン』が彼の誕生日である6月22日にリリースとなりました。

 江口拓也さんとのユニット「ゆーたく」でも歌唱力の高さを遺憾なく発揮している彼ですが、この作品ではその歌唱力だけでなく、彼の持つサービス精神やホスピタリティが音楽表現として昇華された作品となっています。

 そんな彼のサービス精神を象徴するのがtr.1の「Party Night」。冒頭から極太なベース&キックの上を切れ味溢れる力強いラップで捲し立てていき、ヒートアップしたバンドのグルーヴをまとめ上げながらパワフルに歌い上げる姿は、JB'sを率いるJames Brownのような圧倒的エネルギーに満ちています。曲調がめまぐるしく移り変わっていく中で、キャラクターを演じ分けていくような声優ならではのヴォーカルによって、リスナーを置き去りにすることなくムードを盛り上げます。この1曲目から既に「全力のおもてなしで楽しませる!」という彼の心意気が濃縮されています。

 抜群のヴォーカリゼーションを見せつけるのがtr.6「カーテンコールのその後で」。60'sソウル歌謡曲を混ぜ込んだバックビートの上で自由自在に転げまわる熱いヴォーカルを聴かせてくれます。口上が入る部分もあり、加山雄三堀内孝雄を意識しているのが読み取れますが(これはtr.4「もぎたてISLAND」も)、さらにはMarvin GayeAl Greenのようなシンガーまで視界に入れるような堂に入った貫禄のある歌いぶりが素晴らしいです。

 デビュー作であることもあり、ロカビリーやゼロ年代エモなど様々な曲調に挑戦していて、"こんなことも出来る"というショーケース的な面のある作品でありながらも、様子見のレベルを大きく越えて、"エンターテイナー小野友樹"としての今後の可能性を見せつける1stアルバムとなりました。

 

(DJ声優パラダイス

戸松遥『Harukarisk*Land』

  

Harukarisk*Land(初回生産限定盤)

Harukarisk*Land(初回生産限定盤)

 

 

 TVアニメ「かんなぎ」のナギ役や、「ソードアート・オンライン」のアスナ役で知られる戸松遥さんの2年ぶり3rd アルバム『Harukarisk*Land』

  『虹』や『太陽』と言ったテーマで作られた前作までのアルバムは、常に明るく前向きで戸松遥さんをそのまま音楽にした様な印象が全面に出ていたアルバムでした。今作は『遊園地』をテーマに前作までの明るく前向きなイメージが引き継がれています。

  『遊園地』への来場を歓迎する楽曲として作られたtr.1「Fan Fun Parade」はファンファーレの音と共に戸松遥さんによる来場のアナウンスが入る事から『これからこの遊園地で遊ぶんだ』と言う高揚感を刺激してくれます。前作まではイントロダクション的な楽曲が無く、いつの間にか戸松遥さんの世界に入り込んでいたのでこの構成は凄く新鮮でした。

  オリコンチャート4位と自身最高記録となったシングルtr.2「courage」、tr.3「ラブ♡ローラーコースター」は入園早々アップテンポなバンドサウンドでまるでジェットコースターの様です。個人的に一番好きな曲であるtr.4「 No. 1 GIRL」は音楽ユニットSoulifeの河田総一郎、佐々木望が作曲を担当するディスコポップ。

 夕暮れを感じるバラード曲tr.5「Tomorrow」で休憩を挟み、これぞ戸松遥節とも言える伸びやかな声で歌い上げるサビが特徴的な楽曲tr.6「Fantastic Soda!!」、EDMをエレクトロに還元し、サビでのシンガロングがLIVEで盛り上がりそうなtr.7「アテンション☆プリ~ズ」、サンバホイッスルとホーンが夏を感じさせるtr.8「PACHI PACHI PARTY」、アルバム内で最速BPMを誇るポップパンクtr.9「Get you!!」とハイテンションサウンドは続きます。

 「 No. 1 GIRL」でも感じましたが地声とファルセットの切り替えがスムーズで確かな歌唱力の向上を感じるtr.10「マリラレルラ」tr.11「In Our Hands」とナイトパレードを連想させる曲が続き、tr.12「ヒカリギフト」でそのパレードも終了。

 「まだ帰りたくない」、アンコールに答えるかの様にマーチングが始まり最後の曲tr.13「恋ヲウチヌケ」が始まります。ラストを手がけるのはVOCALOID界きってのラブソングメイカーHoneyWorksによる健気な女の子による全力のラブソング、最後は笑顔で終わる所も戸松さんらしいです。

 

 アルバムの構想段階から戸松遥さんの意見が反映されたアルバムだけあって彼女に振り回される遊園地デートの様な気分が味わえますのでオススメです。

 

(かのんびーつ)

三森すずこ『Fantastic Fanfair』

 


三森すずこ「Wonderland Love」MV short ver.(2ndアルバム ...

 三森すずこさん2枚目のアルバムとなる1年ぶりのアルバム『Fantastic Fanfair』。 

 1stアルバム『好きっ』は三森さんのイメージをそのまま詰め込んだ自己紹介のようなアルバムでしたが、この2ndアルバムについて各メディアのインタビューで語られるのは「移動式遊園地」をテーマにしたコンセプトアルバムであるということ。11曲に11通りの作詞作曲編曲家を用意した、まさに遊園地のようなゴージャスかつカラフルな彩り、華やかなテイストの楽曲に富んでいながら、一本のラインの上でまとめられたアルバムとなっています。

 前半はかなりハードな仕上がりになっていて、幕開けのタイトル曲「Fantastic Fanfair」からBPM190で突っ走るフルパワーのパンキッシュチューンで異様なまでの彼女の意気込みを伝えます。個人的にアルバム中最も好きなtr.3「純情 Da DanDan」は、ホーンでグルーヴするホーンファンクパンク。彼女のイメージする踊る楽しさを体現したような一曲です。tr.2「ときめいてDream」tr.4「ROLLER COASTER」tr.5「Traveling Kit」と前半はビートの強い曲が続き、遊園地を満喫する楽しさがアップテンポなビートに込められています。

 アルバムの折り返し地点のtr.6に今作の発端となった、Bメロが三拍子、2番Aメロがバックビートに変化するトリッキーなアレンジのシングル「せいいっぱい、つたえたい!」が据えられているのも、彼女のアルバムに対する意識が全体に行き届いている証拠のように感じられます。

 tr.7「Heart Collection」tr.8「Spinning Stars」と前半と打って変わったダークメルヘンような世界観を見せつけた後に、tr.9「ハーモニア」で美しい恋の成就へと辿り着いたと思わせて、さらに次のtr.10「小さな手と観覧車」でさらに展開を深める遊園地の世界に困惑すら覚えてしまいます。

 そしてラストを飾るのは「High And Loud」以来のタッグであるkz(livetune)によるWonderland Love。遊園地という夢のラストを飾るパレードのような華やかな一曲。でありながらどこか大団円を否定するような不穏な曲展開で、一筋縄で終わらせず再び遊園地の世界へ誘おうとする気配すら感じられます。

 

 今作は「移動式遊園地」というテーマですが、遊園地から連想されるような幻想的でファンタジック一色の仕上がりとはならずに、11曲中8曲がエネルギッシュなバンドサウンドという身体性を意識した作品になったのは、三森すずこさんの地に足の着いた思想や、彼女の人間らしい温かみのある声が持つ求心力の結果ではないかと思いました。そしてアルバム後半のEDM調にも挑戦するなど、甘さや楽しさだけに終わらずほろ苦さも取り入れた作品になったのは、移動式遊園地には楽しさと背中合わせのいつか去っていってしまう終わりある切なさや儚さも含まれている、というメッセージのように感じました。

 

(DJ声優パラダイス

相沢舞『moi』

 


相沢舞/『キミニトドケ』Making Movie 【Short .ver】 - YouTube

moi

moi

 

 

 TVアニメ「日常」の長野原みお役や、「未来日記」の雨流みねね役で知られる声優、相沢舞さんの1stアルバム『moi』。現在の事務所である青二プロダクションに所属した当初から音楽への熱い思いを募らせ続けていたという相沢さん。インパクトのあるアルバムが多くリリースされた2013年の中でもひときわ輝く、熱い思いが詰まった素晴らしいアルバムです。このアルバムからもらった感動をなんとかお伝えしてくてご紹介いたします。

 

 相沢さんの持つ癖のない伸びやかな歌声が、時に力強く時に優しい歌唱でもって遺憾なく発揮されているこのアルバム。今作は黒崎真音さんや三澤紗千香さんの曲の数々を手がけるfu_mouさん、「いーあるふぁんくらぶ」で知られるみきとPさん、あるがまふぃあで活動する有賀俊輔さんなどが楽曲提供・参加しています。

 特に印象的な楽曲を紹介すると、まずtr.2「Speech Balloon」は、元School Food Punishmentの蓮尾理之さんによる楽曲。乱打されるドラムが曲全体を加速させていって、臨界点に達したサビの後のブレイクで、一気に爆発する瞬間のドラマチックさが素晴らしいです。

 エモロックなボカロ曲では右に出るものはいないbuzzGさんの手がけるtr.3「タイムカプセル」tr.4「1572」は、轟音ギターが鳴り響く中を相沢さんの切なくダイナミックな歌声が切り裂いていきます。雨空の雲から射す一筋の光のようにも感じられます。

 tr.6「その刹那」は、「天体のメソッド」EDの「星屑のインターリュード」などでお馴染みのfhánaの楽曲。ドラムやキーボードが軽快なリズムを刻み、相沢さんの穏やかで綺麗なファルセットが響きます。先ほどまでの力強さとは打って変わった優しさや暖かさが音から染み込んできます。これぞ声優楽曲の魅力ともいえるポエトリーリーディングも挿入され、美しいエンディングへと向かっていきます。

 

 声優の相沢舞さんを知らない方、知っていたけど歌は聴いたことがない方、清涼感のある声の女性シンガーが歌うロックに興味がある方など、様々な方に触れていただけたらと願ってやまないアルバムです。

 

(DJ声優パラダイス

竹達彩奈 『週末シンデレラ』

 

週末シンデレラ (初回限定盤)

週末シンデレラ (初回限定盤)

 

 

 竹達彩奈「週末シンデレラ」

作詞:エマキガミタ / 作曲:田上修太郎

 -収録DISC-

4thシングル『週末シンデレラ』、2ndアルバム『Colore Serenata』

 

 竹達彩奈4thシングルとしてリリースされた『週末シンデレラ』はSCAFULL KINGFRONTIER BACKYARD等でフロントマンを努める田上修太郎(TGMX)さんが作曲を担当したガールズポップSKAナンバー。

 ピアノロックをコンセプトに作成された1stアルバム 『apple symphony』収録曲とは違う曲調に少し戸惑ったと語っている竹達彩奈さんですが、彼女の声が持つアッパーな魅力と爽快な楽曲がカチっとハマった最高のLIVE楽曲になっています。「大人しめの女の子が週末に勇気をだしてパーティーに行く」と言うイメージで作られたMVも竹達彩奈さんの可愛さが沢山詰まっていて、特に眼鏡をかけている姿にはヤラレました。

 レコーディングメンバーは、FRONTIER BACKYARDthe band apart浅草ジンタLOW IQ 01/MASTER LOW、WUJA BIN BIN等のバンドの中から田上修太郎さんと親交の深いメンバーが集まっているので声優楽曲、ガールズポップSKAが好きな人だけでなく、各バンドが好きな人にも是非聞いて貰いたいです。

 ちなみに田上修太郎さんが作曲を担当するきっかけになったのは1stシングル『Sinfonia! Sinfonia!!!』で作詞作曲を担当した沖井礼二さんからの推薦だとインタビューで語っています。皆でSKAダンスからのサビの可愛い腕フリを覚えてイベントで踊りたいですね。

(かのんびーつ)

 

-レコーディングアーティスト-

KENZI MASUBUCHI(ギター)

原昌和(ベース)

福田 TDC 忠章(ドラムス)

fussy(トロンボーン

シーサー(トランペット)

NARI(サクソフォーン)

 

 

 

-おまけ-

SCAFULL KINGは僕の青春ど真ん中でした。